サガラの棕櫚たわしの魅力
東京の割烹・料亭の料理人御用達

Photo by 平尾秀明氏

極上の感触

圧倒的な密度の繊維によって極上の感触が生まれる。サガラの棕櫚たわしは、乾いた時に触っても心地よい。何とも言えない存在感が手のひらに伝わる。だが、たわしが本領を発揮するのは、流れる水を受けてからだ。水を得たサガラのたわしは、棕櫚の持つ弾力性を存分に引き出す。水分を吸ってさらにしなやかに、表面をつたうようにゴシゴシ動かせる。棕櫚の繊維一本一本が、大根の泥を落とし、まな板の汚れを掬い出す。

圧倒的な繊維密度

棕櫚たわしの良し悪しを見分けるのは簡単だ。さわればわかる。繊維の密度が全く違うのだ。この繊維密度こそが、職人の熟練度の証しであり、腕の見せどころである。サガラのたわしには、たわし作りの最高級の技が隅々まで生かされている。

圧倒的な密度を生み出すのは「捻り」の技だ。

たわしは、2本の金属線の間に短く切り揃えた繊維を並べ、これを捻ることで原型ができあがる。まずは繊維を均等に並べることが肝心だ。少しでもずれると上手く捻ることができない。しかし、本当に腕が試されるのは、ここからだ。捻りながらも均等を保つこと。静から動へ動く一瞬の呼吸。力の加減を取手に伝え、目で繊維の緊密さを計り、手と腕と道具が一体となって捻りあげる。相手は跳ねっ返りの天然素材である。早すぎても、遅すぎてもいけない。強く捻らないと繊維が落ちる。強すぎると金属線が切れる。弱すぎれば、密度を保てない。一捻り一捻り、魂を込めて。これを繰り返し、ずっと繰り返す。

 

Photo by 平尾秀明氏

硬軟の美

たわしは、用途によってサイズや形状を変え、硬さも変わる。硬さに変化を持たせるのは、繊維そのものの硬軟と、繊維の長さである。長いほど柔らかい感触があり、短いほど硬くなる。さらに、サガラのたわしは、ひとつのたわしの中に硬軟が絶妙に配合されている。

たわし作りのスタートは、棕櫚繊維の仕分けである。硬軟、弾力性の有無を確認してより分ける。水に濡らした繊維の一本一本を手の感触で見分ける。料理で言えば仕込みのようなもの。素材の扱いが製品の命だ。地味で人には見えない隠れた作業にこそ、ものづくりの魂が詰まっている。

Photo by 平尾秀明氏

この仕分けた棕櫚の繊維をたわしに配合するのが熟練の技。手に持つところは持ちやすく、洗い物に当たるところは弾力性の良い繊維を揃え、端の使わない部分には硬めの繊維で整える。同じ棕櫚の繊維を単純に並べているように見えるが、並べた後も繊維がうまくブレンドするように手で馴染ませ、とことん人が使いやすいように計算し尽くされている。手間をかけ、愛情を注いで、たわしが出来上がる。

Photo by 平尾秀明氏
Photo by 平尾秀明氏

生活道具の気品

ものづくりには、職人の魂が宿ると言われる。職人魂はたわしの気品となって現れる。芸術でもアートでも、贅沢品でもないが、そこにあるだけで日々の生活に楚々とした気品が漂う。このサガラたわしの風情こそ、プロの料理人が愛するものだ。

その気品は「手作りの温もり」といった常套句では、表現が足りない。3代わたって引き継がれ、凝縮されてきた機能美への憧れと探究心が、長い年月の間に研ぎ澄まされて、ひとつの形として現れたものである。だが、あくまでも生活道具。日常の生活にあってこそ美しい。

Contact

棕櫚たわしサガラ